撮影シーン

【2023年8月天体イベント】ペルセウスが流星群の撮影方法 〜撮影機材編〜

撮影シーン

2023年の天体イベントの中で最も注目されているのが「ペルセウス座流星群」です。 ペルセウス座流星群は毎年同じ時期に見ることができる3大流星群のひとつで、条件がよい時には1時間あたり80個以上の流星が観測することができます。 2023年は流星群の活動が活発になるタイミングが新月に近く、月の影響をほとんど受けない好条件となります。 カメラを趣味にしている人の中には、「見るだけでは勿体無い」「写真に撮って残したい」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そんな方にこの記事では、2023年のペルセウス座流星群を写真で撮るために必要な情報を、星景撮影初心者の方から中級者向けに一から解説していきます。 記事は次の5部構成となっていますので、順番に読んでもいいですし、気になる記事だけを取り上げて読んでいただくこともできます。

  1. 撮影地編:東海地方周辺で星空が観測しやすい場所を紹介します。
  2. 撮影機材編:星空撮影に必要な機材とより撮影計画を立てるためのアプリなどを紹介します。
  3. 撮影設定編:星を撮影するために最適な設定方法を紹介します。
  4. カメラ・レンズ編:星空撮影に適したカメラやレンズを予算や目的別に紹介します。

この記事を全て読み終わる頃には、ペルセウス座流星群を撮影イメージが固まり、流星群だけでなく天の川などの星景写真のスキルが上達しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。 写真は撮らなくても見るだけで十分という方にとっても、おすすめの撮影地は参考になると思いますので、この夏友達や家族と星を見に出かけてみてはどうでしょうか。 この記事を書いている私は、カメラ歴10年以上、フォトマスター検定試験1級の資格を取得しているYOSHIです。 初心者の方がカメラを手にして写真を楽しむことができるように、カメラやレンズの話、撮影スキルなどについて紹介しています。

また、私のブログではコンデジや一眼カメラを買おうか迷っている人が、自分にはどんなカメラやレンズが合うのかという質問にお答えしていますので、気になる方はお問い合わせページからご連絡ください。

準備必須の撮影機材

カメラ・レンズ

星景写真をスマートフォンで撮ったことはあるでしょうか? Xperia1Ⅴのような最近のスマートフォンであればイメージセンサーのサイズが大きく、撮影設定もマニュアルで変更できるため星景写真を撮ることも可能にな時代になってきました。 とはいえ、綺麗な星空が撮れるかというと、やはりまだ一眼カメラには及びません。 そのため、星景写真を撮る上ではカメラ(コンデジ又は一眼)と明るいレンズが必要になってきます

星景写真向けのカメラとは

カメラであればどれでもいいかというとそうではありません。星空を撮影するためには、「f値」、「シャッタースピード」、「ISO感度」を自分で設定(マニュアル設定)できるカメラでなければなりません。 この「f値」「シャッタースピード」「ISO感度」の詳細については、この後の「撮影設定編」のところで詳しく説明しますが、カメラおまかせの撮影モードしかないものは選ばないようにしましょう。 次に写真の解像度を上げる(綺麗に撮る)ためには、イメージセンサーの大きさが重要です。 イメージセンサーとは、カメラに入ってきた光を電気信号(画像)に変換する重要な部品で、面積が大きいほど暗いシーンでも綺麗な写真を撮ることができます。

スマートフォンに搭載されているのは、2.3/1型と呼ばれるものが多く、Xperia1ⅴのような高級機種になると1インチセンサーを使用しています。 星景写真に向きのカメラとしては、APS-Cセンサーか35mmフルサイズセンサーを使用したものが理想になるので、自分の予算と合わせて選ぶようにしましょう。 おすすめのカメラについては、カメラ・レンズ編で紹介します。 コンデジなどでもマニュアル設定ができれば星を撮影することはできますので、とりあえず星を撮り方を練習したいという方であれば、既にお持ちのコンデジから始めてみてもいいかもしれません。

星景写真向けのレンズとは

星景写真に向いているレンズの条件としては、画角が広くて明るいレンズです。 広角レンズというのは、レンズに記載されている焦点距離(〇〇mm)という数字が小さいレンズのことで、明るいレンズというのは、f値と呼ばれる数字が小さいレンズをいいます。 具体的に言うと、焦点距離は24mm以下、f値は2,8以下のレンズが向いてます。 その理由は、一つは星景写真という星空と地上の風景の両方を撮るために画角が広いレンズが使いやすいためです。 もう一つは星は地球の時点により少しずつ流れているめ、星が止まっているように写すためにはシャッタースピードなるべく短くしなければならないからです。 焦点距離が短かければその分空を広く移せるので、カメラの画角の中に流星群が映り込む確率は高くなります。 この条件を満たすレンズを選ぶ場合、ズームレンズ(焦点距離を変えられるレンズ)は高価なものが多いので、単焦点レンズがおすすめになります。 おすすめするレンズについては、カメラ・レンズ編で紹介します。

三脚

ジッツオ トラベラー

引用:ジッツオ

星景写真の撮影では、シャッタースピードを10秒から20秒くらいかけて撮る必要があります。 そのため、三脚を使ってカメラを固定する必要があります。 三脚を選ぶときの注意点としては、カメラとレンズの重さ以上の耐荷重があるかと、自分の目線くらいの高さまで伸ばせるかどうかです。 あとは、軽すぎる三脚を使用する場合には、風で倒れることもあるのでなるべく重さのある三脚を選ぶといいでしょう。 旅行や登山に軽い三脚を持っていくのであれば、荷物などを吊り下げで安定性を上げれるものを選ぶといいでしょう。 値段も3000円くらいから10万円くらいとピンキリなので、最初は安いもので試してみて後から自分の好みに合った三脚を選ぶといいでしょう。 予算に余裕のある方は、ジッツオのトラベラーという三脚がおすすめになります。 カメラを三脚に固定するためには、三脚側の「雲台」とカメラ側の「ベース」が必要になります。 通常は、三脚を購入したときについてくる「雲台ベース」をカメラに取り付けるのですが、これだと三脚が複数ある場合、いちいち雲台ベースを交換する必要が出てきます。 この問題を解決するために「アルカスイス互換」と言うシステムを使った雲台とベースを使用することによって、交換の手間を省略することができて、簡単に取り付けることができます。

ベルボン自由雲台 アルカスイス互換

引用:ベルボン

新しく三脚を購入される方は、アルカスイス互換のあるものを購入すると便利です。

レリーズ

レリーズ

引用:SONY

レリーズとは、シャッターを切るためのリモコンです。 なぜ星景写真でレリーズが必要かというと、前述したように星景写真は長いシャッタースピードが必要になります。 そのため、最初にシャッターを押したときの振動により写真がブレてしまうことがあります。 このブレを抑えるために、レリーズが必要となるわけです。 レリーズには有線タイプと無線タイプがありますが、有線タイプだと接続が途切れる心配がないので安心して使えます。 必要な機能としては、シャッターボタンを固定する機能があるかどうかです。 流星群の場合は、連続撮影して何枚か撮影して、その中のどれかに流星が写っているのを選びます。 そのため、撮影設定を連続にする際にシャッターボタンを固定できるレリーズがあると便利です。 タイマー機能を設定できるレリーズもありますが、あまり使用する機会はないと思いますので、カメラに対応しているサードパーティ製のレリーズで十分かと思います。 ちなみに私は、ROWA JAPANとうメーカーで1,000円以下で購入したものを使っていますが、今のところ不具合はありません。 カメラのタイマー設定(2秒)やインターバル撮影機能で代用することもできるので、絶対なければいけないという機材ありませんが、高い機材ではないので1つは持っておくといいでしょう。

ライト

ビクセン ヘッドライト

引用:Vixen

目的地に着いたら撮影場所へ移動したり、カメラの設定を操作するのに手元を照らすライトが必要になります。 スマートフォンのライトでもいいのですが、スマートフォンのライトは明るすぎて一瞬でもライトの光がカメラに向いたり風景を照らしたりすると写真としては使い物にならなくなってしまうことがあり、周りに他の撮影者がいる時は注意が必要です。 そのため、ライトは光量を調節できて作業する時に両手があくヘッドライトを持っていくと快適です。 ヘッドライトならホームセンターに売っているようなもので十分ですが、予算がある方は天体望遠鏡のメーカーであるビクセンが出している天体観察用ヘッドライトSG-L02がおすすめです。 ライトにはタイムラプス動画を撮った入する時などカメラから一時的に離れる場合、三脚に吊るして下向きに照らして、後から来た撮影者にカメラがあることを知らせて蹴られないようにするという使い道もあります。 この場合は100均の小さいライトが便利です。

あると便利な撮影機材(中級者以上)

レンズヒーター

ビクセン レンズヒーター

引用:Vixen

寒冷地や湿度の高い場所で撮影する場合には、レンズに結露が発生して撮影できなくなることがあります。 そのまま撮影を続けると、最悪の場合レンズ内にカビが発生して修理に出すことにつながるため、露対策は重要です。 そんな時には、レンズの先端を温めるレンズヒーターがあると便利です。 モバイルバッテーリーからUSBで繋ぐだけのシンプルな構造なので、簡単にセッティングできます。 注意するのは、レンズヒーターを巻く際に、フォーカスリングやズームリングを触ってしまうとピントがズレる可能性があることです。 そのため、レンズヒーターを巻く前には、マスキングテープなどで各種リングを固定しておいてから巻くといいでしょう。 最近は2000円くらいで買えるものが増えてきているので、星景写真を長く続けるのであれば持っておいて損はないと思います。 寒冷地で撮影する場合は、外から暖かい車内や室内に持ち込む際の急激な温度差で結露が発生することがあります。 撮影が終わったらカメラをタオルでくるんだり直接暖房が当たらない場所に置くなどしてゆっくりと室温に慣れさせるといいです。

フィルター

明るい星を強調して星座をわかりやすくするためのアイテムとしてソフトフィルターというものがあります。 ソフトフィルターは通常ポートレートなどで柔らかいタッチにするためのものですが、星景写真で使用すると明る星がボケて大きくなるため、星座がわかりやすくなるという特徴があります。 簡単にセッティングできるのは、プロソフトンというレンズの前面に取り付けるタイプの円形フィルターです。 ぼかしの強さ別に、「クリア」<「A」<「B」と強くなっていきます。 あまりぼかし過ぎると地上部分のディティールが悪くなってしまうので、「クリア」か「A」あたりがおすすめです。 購入する際には、レンズのフィルター径と合っているかを確認するのを忘れないようにしましょう。 2023年5月にKenkoから「スターリーナイト プロソフトン」という1枚のフィルターに外灯などの光外の影響に色かぶりを防いでくれる光害カットソフトフィルターの機能がセットになったものが発売されました。

Kenko スターリーナイト プロソフトン

引用:Kenko

赤道儀

Vixen ポラリエ

引用:Vixen

赤道儀とは、地球の自転するスピードに合わせて台座が回転するものです。 三脚に赤道儀をセットして、赤道儀の台座の上にカメラをセットすることで、撮影中地球の自転に合わせてカメラが動きます。 赤道儀を使う利点としては、シャッタースピードを長くしても星が伸びず、点で捉えることができることから、ISO感度を下げてノイズの少ない写真を撮ることができることです。 最近は、画像編集ソフトを使ってノイズを除去する機能やスタックという撮影方法が使えるようになってきたため、赤道儀の需要は少なくなってきたように感じます。 赤道儀を使うと星を点で撮ることができますが、風景は流れて写ります。 綺麗な写真に仕上げるには、星空と地上の風景を赤道儀ありとなしでそれぞれ撮影してPhotoshopで合成するという方法が使われます。 赤道儀は様々なメーカーから発売されていますが、値段としては3万円から5万円というところが相場です。 これにプラスして赤道儀にカメラを固定するための自由雲台が必要になってきます。 赤道儀の撮影は、星景写真に慣れてきてから検討してみるといいでしょう。

おすすめのアプリ・Webサイト

アプリ・ウェブサイトは主に撮影計画を立てる上で必要となる天気や星座などの情報を入手するためのものを紹介します。 ダウンロードもしくはお気に入りに登録しておくといいでしょう。

SCW 天気予報・観測情報

SCWー天気予報/観測情報

引用:SCW

 SCW(ウェブサイト)は、天気予報の中でも雲量を予測するのに使います。 ウェザーニュースや天気JPでは晴れの予想であっても、現地に行ってみると雲が多いということがあります。 これは、「晴れ」という表現が雲の量が「2〜8割」を示しているためです。 これでは、現地に行って雲が出ているかどうかは運次第になってしまいます。 そこで、雲量を24時間先まで予想してくれるサイトである「SCW」を参考にします。 私の場合は、週間天気予報を見て天気がざっくりいいかを見て、1日前からSCWを見て撮影に行くかどうかを判断します。 さらに、予定していた撮影場所の雲量が多い場合は、別の場所に変更する場合もあります。 SCWは精度が高いので、撮影予定の場所と時間帯に雲の表示がなければ、安心して撮影に向かうことができます。

windy(天気)

windy

引用:windy

 天気予報サイトの中でも、精度が高く利用者が増えてきているのが「windy」です。 右側のメニュー画面に「雨、雷」「雲」「気温」「波」などを選ぶことが出来て、「雲」を選択するとピンポイントの場所で雲量が何%かを表示してくれます。 リアルタイムから10日先まで予想が出ているので、計画を立てる上での参考となります。 アプリ版もあるので、インストールしておくと手軽に調べられて便利です。 私の場合、天気ば微妙で判断がつきにくい時はwindyとSCWの両方をチェックして2つのサイトとも雲量が少ない予想であればとりあえず撮影に行くようにしています。 どちらか一方が雲の量が多そうであれば、近場で天気予報が外れてもいい場所を選択するか撮影を中止することもあります。

Stellarium Web(星座表)

Sterllarium Web

引用:Stellarium Web

撮影計画をってる上で、星座表のアプリが一つあると便利です。 星座を覚えるまでは方角が分かりづらいため、VRアプリの星座表があれば星座を探しながら方角を確認できます。 PC上で撮影計画を立てる上のであれば、無料で使えるStellarium Webがおすすめです。 このソフトは、時間や場所(緯度・軽度)を設定して、その時間に見える星空を再現してくれます。 これをみると、何時頃から星が撮影できるくらいの暗さになって、この方角にカメラを向ければいいかがイメージできます。 空を拡大していくと、星雲や人工衛星まで見ることができるので、星が好きな方はこのサイトを見ているだけでも面白いかもしれません。

Diana(月齢)

撮影計画を立てる上で、かなり重要になるのが月の暦です。 満月に近いような月が出ている場合は、空が明るく照らされてしまうため星景写真には向いていません。 逆に新月であれば夜中であればどの時間でも好条件で撮影することができます。 Diana(ディアナ)というアプリを使うと、カレンダーで月の満ち欠けを表示してくれるため、いつくらいが月の影響が少ないかが分かります。 星景写真を撮るのであれば月は半月から新月までの間が撮影には適しています。 また、このアプリでは、月や太陽の出没時間を正確に表示してくれるので、太陽が沈んでから月が昇ってくるまでの間に撮影するという計画を立てる時などに使用します。

Diana

引用:Diana

この月齢でみると、月が夜中の3時頃には沈んで、太陽は7時くらいに昇ってくることが分かります。 太陽が昇る1時間半前くらいから空が少しずつ明るくなるので、撮影時間としては3時から5時半までの間となります。 星景写真の上級者になってくると、月が出ている時間と沈んでいる時間を分けて星空と地上の風景を別撮りして、編集で合成するという手法を使うこともあるので、月の出没時間がわかるこのアプリはとても便利です。

まとめ

今回は、「撮影機材編」ということで、どういうカメラやレンズをどういう基準で選べばいいのか、星景写真を撮るために必要な機材について、撮影計画を立てる上で役立つアプリなどについて紹介してきました。 機材については、カメラ、レンズ、三脚についてはピンキリなところもありますが、今持っている機材で撮影してみて、満足いかなかった時や本格的に星景写真を始めたいと思った時に買い替えを検討してみてもいいと思います。 無駄な買い物はせずに、星景写真に最適なカメラやレンズが欲しいという方には、このシリーズの最後におすすめのカメラ・レンズを紹介しますので、そちらを参考にしていただければと思います。 次回は、「撮影方法編」ということで、いよいよ実践的な内容に入っていきます。 カメラの知識が少ない方にとっては難しい内容になるかもしれませんが、なるべくわかりやすく解説していきますので是非ご覧ください。 では、最後までご覧いただきありがとうございました。

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