カメラを買おうと決めたのに、どんなカメラを買ったらいいか分からなかったり、金額の大きさに躊躇したことはありませんか。
最近は、スマートフォンとの差別化を測るためにスマートフォンよりも安いカメラはほとんど売れず、高価な機種ばかりがお店に並んでいますよね。
私も、一眼カメラを買い替えるときは何ヶ月も悩んで、お小遣いを貯めて買った覚えがあります。
決して安くない買い物だからこそ納得してカメラを買いたいですよね。
そんな悩みについて、カメラ歴10年以上、フォトマスター検定1級の資格を取得した私が、カメラを買う前に考えるべきポイントについてお伝えします。
このブログを読んでいただけると、カメラを買う決断をしても、買わないという決断をするにしても、後悔のない選択をすることができると思いますので、ぜひお付き合いください。
時代はデジカメからスマートフォンへ
近年のデジタルカメラの市場動向を見ると、総出荷台数は2010年の1億2000万台をピークに下落傾向が続き、2021年には836万台と10年間でおよそ7%まで減少しています。
これは、iPhoneを代表するスマートフォンが広く普及したことで、手軽に高画質な写真を誰でも撮ることができ、さらにその写真をSNSへすぐに投稿できるなど利便性が向上したことが要因として考えられます。
実際に、旅行者や仕事の記録でもデジタルカメラを使っている人はほとんど見かけなくなってきて、皆さんスマホでパシャパシャ写真撮ってますよね。
一方で、コンパクトデジタルカメラ(通称「コンデジ」)と一眼レフカメラという市場規模が減少傾向にあるのに対して、ミラーレス一眼の2020年の総出荷台数は一眼レフカメラの出荷台数を超えて、増加傾向にあります。
ミラーレス一眼とは、一眼レフと呼ばれるカメラとは構造が異なり、イメージセンサーと呼ばれる半導体で受けた光を背面モニターやファインダーで映し出す構造のカメラです。ミラーがなくなったことで、カメラやレンズを小型・軽量化することができるのが特徴です。
一眼レフカメラとミラーレスカメラの仕組み
引用:BIG CAMERA
近年ではミラーレス一眼の進化が目覚ましく、画質やオートフォーカス性能、背面モニターやファインダーに映し出す映像の滑らかさや、タッチパネル操作などの機能が大きく向上しています。
ミラーレス一眼の需要増には、こうしたミラーレス一眼の進化や、インスタへの写真投稿、VLOGなど動画配信を目的として、スマートフォンとの差別化を測って購入するユーザーが増えたとが要因のとしてあるのではないでしょうか。
SONY VLOGカメラ ZV E-10
引用:SONY
スマートフォンと一眼カメラの”差”って何?
スマートフォンのカメラで多くの人が満足しているように、最新のスマートフォンのカメラは驚くほど性能が向上しています。
例えば、2020年7月時点でiPhoneの最新機種にあたる”iPhone 13 Pro”は3つのカメラを搭載し、とても広い画角から望遠まで(35mm換算で13mmから77mm)撮影できて、背景のボケ感も向上しています。
iPhone13 Pro
引用:apple
動画では4Kでの撮影も可能で、シネマティックモードなど被写体の動きにフォーカスを合わせる機能が追加されています。
スマートフォンのメリット
スマートフォンが一眼カメラよりも優れているところは、“小型・軽量”であることと“手軽さ”の2つがあると考えます。
先ほどの”iPhone 13 Pro”は203gとスマートフォンの中では多少大きめかも知れませんが、一眼カメラの軽い機種とレンズを合わせても500gを超えることを考えると、圧倒的に軽く、どこにでも持ち歩くことができます。
そして、”手軽さ”という点については、一眼カメラだと、Wifiでスマートフォンに転送したり、SDカードからPCにデータを移すなど手順を一つ二つ踏む必要がありますが、スマートフォンなら撮った写真をそのままSNSにUPしたりLINEで共有することもできます。
スマートフォンのデメリット
逆にスマートフォンが一眼カメラよりも劣る点はどこでしょうか。
画質などを追求すれば当然一眼カメラの高級機種の方が有利なのは言うまでもありませんが、私が思うに”レンズ交換ができない”ことや”撮影時の操作性”などカメラならではの構造にあると考えます。
一眼カメラの醍醐味といえば、”好みのレンズに交換できる”という点です。
風景を広く撮りたいのであれば広角レンズを、飛行機や鳥など遠くのものを撮りたいのであれば望遠レンズをといった具合に、目的に適したレンズに交換できることです。
先ほどのiPhone 13 Proにも3種類のレンズが搭載されていますが、レンズを交換することができないため、画質にこだわりたい人にとっては物足りなく感じる撮影シーンが出てくるでしょう。
また、一眼カメラと比べるとイメージセンサーの大きさも小型化されているため、暗いシーンでの撮影や背景のボケ具合などに差が出てきます。
そして、”操作性”について言えば、最近のスマートフォンでも本格的なカメラのように”露出”、”f値”、”ピクチャープロファイル”などの設定を変更することができますが、設定にこだわるようになるとボタンやダイヤルがないことから、好みの設定にするまで時間がかかり、シャッターチャンスを逃してしまうことがあります。
この他にも、一眼カメラならではのボケ感のある写真が撮れること、画像編集に必要なファイル形式の変更や手ぶれ補正機能など、撮影専用機としての機能を豊富に揃えている点がスマートフォンとの”差”であると考えます。
一眼カメラを買う前に考えて欲しいこと
これまで述べたように、スマートフォンと一眼カメラの差は年々縮まりつつあります。
事実、ミラーレス一眼の代表格であるSonyは、「数年以内に静止画におけるスマートフォンの画質は一眼カメラの画質を超える」という見通しを示しています。
そうした中で、ある程度スマートフォンとの間で差を実感できるクラスのカメラやレンズを購入したいのであれば、ある程度の資金を見込んでおく必要があります。
撮りたいものや一眼カメラでやりたいことにもよりますが、初心者が購入するものであっても10万円から20万円程度の初期投資が必要ではないか考えます。本格的にカメラを始めてみたい人であれば30万円以上の資金も必要になってくるでしょう。
一眼カメラを購入しない方がいい人
私が思うに、一眼カメラを買って後悔しないためには「一眼カメラを買って何がしたいか」を考えることが一番重要でないでしょうか。
例えば、子供の写真を撮りたくて一眼カメラを買おうか悩んでいる人がいるとします。
しかし、特にカメラに興味がある訳ではなく、単純にインスタ映えする写真を簡単に撮りたいと考えているとしたら私はその人に一眼カメラの購入はお勧めしません。
なぜかというと、ミラーレス一眼も小型・軽量化してきたとはいえ、持ち出すには面倒な大きさですし、さらにインスタで目を引くような写真を撮るには一眼カメラの性能プラス、設定や構図の調整などの技術が必要になってくるからです。
そうしたカメラについての知識がない中で、中途半端なモデルの一眼カメラで撮影しててもスマートフォンとの差が実感できず、結果的に引き出しの奥に一眼カメラをしまっておくか、メルカリなどに出品して手放すことになるでしょう。
「カメラにそこまでお金はかけたくない」「カメラの設定はわからないので全部オートで撮る」という方は、一眼カメラを買うよりも、最新のスマートフォンに買い替えた方が、結果的に満足度が高くなるのではないかと思います。
誤解があるといけないのですが、子供を撮りたいという人に一眼カメラを薦めないという訳ではありません。「一眼カメラでしか表現出来ない写真を撮りたい」と思うか、さらに突き詰めて言えば「一眼カメラを買って何がしたいか」が重要だと私は考えます。
一眼カメラの購入をお勧めする人
逆に一眼カメラを買った方がいいとお勧めできる方はどう言う人かというと、ある程度の予算を持っていることが前提になりますが、「撮りたいものやカメラを使いたいシーンがはっきりしている人」です。
例えば、趣味で登山をしている人で、山頂での景色やテント泊した時の星空に感動して写真を撮ろうと思ったけどうまく撮れなかった経験があり、一眼カメラの購入を悩んでいるとします。
そうした人は、スマートフォンでは得られない一眼カメラの”価値”を理解しており、実際に一眼カメラを購入したあと、どうすればいい写真が撮れるかを自分で調べたり、何度も撮影していくうちに上達していくことが想像できますよね。
それであれば、多少予算をオーバーしたとしても納得のいく買い物ができると思いますし、予算との折り合いが付かなくても、予算の範囲内で中古のカメラから自分に合ったカメラを探すことができるでしょう。
まとめ
スマートフォンでも撮影条件や編集次第では一眼カメラ並みの写真を撮れる可能性は十分あります。
そのため、スマートフォンのカメラが進化していく中で、一眼カメラを買うかどうかの判断はとても難しくなってきていると思います。
予算に余裕がある方は別として、大抵の人はどのカメラにしようか悩むより、「買うか買わないか」で購入を決断するまで時間がかかっているのではないでしょうか。
先にも述べましたが、私の考えとしては「撮りたいもの、一眼カメラを買ってやりたいこと」が明確であれば、予算がかかったとしても買って後悔することは少ないと思います。
あとは自分の目的に合ったカメラ・レンズを選ぶだけです。
このブログでは、目的に応じたカメラやレンズをご紹介していく予定ですので、そちらを参考に購入を検討してもらえば嬉しく思います。
また、いろんな写真を撮りたくてカメラを決めきれないと悩んでいる方に対しても、多くの人にとって使いやすい「最適解」なカメラについても紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。