Nikonと聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか。
年配の方からすると「写真好きなプロやハイアマチュア向けのメーカー」と答える方もいれば、若い世代の方からは「カメラメーカーとしてあまり馴染みがない」という意見もあるのではないでしょうか。
NikonはCanonと並んで一眼レフカメラの黄金時代を築いてきた、老舗のカメラメーカーになります。
最近は、小型軽量なミラーレス一眼カメラが主流となってきていますが、Nikonはミラーレス一眼カメラの開発が出遅れたため、若い世代の方には馴染みが少ないのも仕方のないことかもしれません。
ですが、ここ数年でZ8やZfなど写真好きにはたまらないカメラが発売されてから、再びNikonが注目を集めるカメラメーカーとなってきました。
そこで、この記事ではNikonのカメラの特徴となぜ写真を撮る人にNikonが向いているのかということを解説していきます。
この記事をご覧いただくと、Nikonの歴史やこだわりを理解して、きっとNikonのカメラを使ってみたくなるでしょう。
記事の後半には、今Nikonで人気の高いカメラとして、Zf、Zfc、Z8という3機種についてご紹介しますので、カメラを選ぶ上での参考としてください。
この記事を書いている私は、カメラ歴15年以上、フォトマスター検定試験1級の資格を取得しているYOSHIです。
私のブログでは、初心者の方がカメラを手にして写真を楽しむことができるように、カメラやレンズの話、撮影スキルなどについて紹介しています。
最大口径のZマウントによる優れた光学性能
光学機器の会社として100年以上の歴史があり、一眼レフカメラの中心的なメーカーとしての役割を担ってきたNikonでしたが、ミラーレス一眼カメラへの転換は遅く、2018年に発売されたZ7からスタートしていきました。
ミラーレス一眼カメラとしては後発であるため、これまでに生産されているカメラやレンズの充実度は、他社メーカーと比較すると、高いとは言い難いところがあります。
ですが、光学機器メーカーとして確かな信頼があるZシリーズのミラーレス一眼カメラやレンズには、写真家の間でも人気の高いものとなっています。
Nikonの人気の秘密は、ミラーレス一眼カメラで新しく設計されたマウント口径55mmという大口径のZマウントによる画質の高さにあると言えるでしょう。
マウント口径55mmのメリット
引用:Nikon
Nikonのミラーレス一眼カメラで特筆すべき点は、マウント口径55mmというフルサイズミラーレスでは最大の口径となるZマウントの存在です。
マウント口径というのは、カメラとレンズの接点となる部分の内径で、SONYのEマウントは46mm、パナソニックなどのライカLマウントは51,6mm、CanonのRFマウントは54mmとなっているので、NikonとCanonは大口径のレンズマウントを使用していることが分かります。
マウント口径が大きいことのメリットは、レンズ設計の自由度が高くなり高画質なレンズを作りやすいという点です。
マウント口径が小さいと、イメージセンサーの周辺部分に十分な光が集まらずに、解像度が落ちる原因となります。
そのため、様々な種類のレンズを組み合わせて“光を曲げる”必要があるのですが、“光を曲げる”ことにより収差という画像の乱れが発生しやすくなるため、収差を打ち消すための高度な技術やレンズ設計の制限が必要となってしまいます。
つまり、マウント口径を大きくすることで、収差の発生を抑えたレンズ設計が可能となるため、全体の解像度が高くなります。
カメラ部TVさんのYouTubeチャンネルにマウント口径の違いについてわかりやすく解説されている動画があるので、詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
逆に、マウント口径が小さいとカメラのボディやカメラを小型化できるというメリットもあるので、何を優先するかというコンセプトの違いがマウント口径に現れています。
階調が豊かなZマウントの特徴
新しくミラーレス一眼カメラを開発するときに55mmという大口径のレンズマウントを採用した点は、光学機器メーカーとしての強いこだわりがあったと言われています。
Nikonのカメラの特徴としては、口径55mmというZマウントの特性を活かした、解像力の高さ、美しく自然なボケ味、階調の豊かさです。
特に、私が感じるのは、階調が豊かで陰影の表現がどのメーカーよりも美しいという点です。
明暗差の大きいシーンでの撮影でも、白飛び黒つぶれが少ないのはもちろんですが、影になる部分でもしっかりとディティールを残した美しい写真となっています。
そのため、モノクローム撮影など色のない世界を表現するのにも適したカメラと言えます。
また、夕焼け空のようにグラデーションのあるシーンでも、見たままのように滑らかで美しく再現できるのも、Nikonのカメラの特徴と言えるでしょう。
写真を撮ることにこだわり抜いた設計
引用:Nikon
光学機器としての歴史や55mmというマウント口径からもわかるように、Nikonには画質に対して強いこだわりを持っているメーカーです。
そのため、カメラのデザインから機能まで写真家にとって使いやすい設計となっているのが特徴です。
最近のカメラは、動画撮影もしやすいようにバリアアングルモニターを採用するメーカーがほとんどですが、光軸とモニターの位置がズレるため、Zシリーズではチルト式が多いとも言われています。
Zシリーズのフルサイズカメラには、すべてボディ内5軸手ぶれ補正が採用されており、2023年に発売されたZfにおいてはフラグシップのZ9やZ8よりも強力な最大8.0段の手ぶれ補正機能があります。
逆に、動画に関する性能はSONYなどと比較してもあまり得意ではなく、動画用の電子手ぶれ補正もそれほど強力ではないため、本格的に動画撮影を行う場合には、ジンバルを使っての撮影が必須になります。
一眼レフユーザーからの強い信頼
引用:Nikon
2024年現在で、一眼レフカメラを販売を継続しているのは、Nikon、Canon、PENTAXの3社のみとなりました。
中でも、Nikonの一眼レフカメラを使い続けるユーザーはとても多いです。
Nikonのミラーレス一眼カメラやレンズが充実していないという理由があるかもしれませんが、一眼レフカメラにはミラーレス一眼にない利点があります。
光学式ファインダーは、映像のタイムラグが発生しないことや、見たままの映像を撮影できる点であったり、シャッターを切った時にミラーアップするときの小気味よりシャッター音が撮影する時のテンションを上げてくれるものがあります。
加えて、Nikonの一眼レフは画質の面でも最新のミラーレス一眼カメラと比べても引けを取らないほどよく、逆に水中撮影についてはフルサイズ一眼レフカメラのD850で撮影した方が美しいと感じるので、カメラを変えることはできないという人もいます。
Nikonも時代の流れでこれからミラーレス一眼カメラに移行していくことになると思いますが、できるだけ長く愛される一眼レフカメラメーカーであって欲しいと願っています。
所有欲を刺激するクラシックデザイン
シリーズのカメラは、ミラーレス一眼カメラとしては後発であったこともあって、なかなかヒットするカメラが出てこなかったのですが、2021年7月に発売されたNikon zfcというAPS-Cカメラや2023年10月に発売されたZfというフルサイズカメラの登場により注目を集めることとなりました。
zfcやZfは、フィルムカメラ時代の名機であるFM2(1982年発売)にインスパイヤされたカメラで、外観はクラシックなデザインとなっています。
グリップ部分がないスマートなボディ、当時のロゴを使ったデザインや刻印が施されたダイヤルを配置するなど徹底したデザインへのこだわりが所有欲を刺激して、若い世代や当時の1970年代から1980年代のNikonを知る中高年層を中心に人気を集めています。
実際に、家電量販店でもZfを羨望の眼差しで見つめる20代くらいの若い世代をよく見かけることがあります。
初心者向けカメラは、誰でも簡単に扱えるようにボタンやダイヤルを少なくしたり、モードを合わせればカメラが最適な設定に合わせてくれるものがほとんどです。
ですが、自分でシャッタースピードやISO感度を設定するなど、あえて面倒なマニュアル撮影に仕向けることで、写真の技術が磨かれたり、自分好みの設定で撮る楽しみを実感できるのも魅力の一つと言えます。
2024年 Nikonで人気の高いカメラ3選
ここまで、光学機器メーカーとしてのNikonのこだわりや伝統を感じさせるデザインなどの特徴について見てきました。
ここからは、2024年現在でNikonで人気の高いカメラを3つご紹介していきます。
最新の技術と伝統が融合したフルサイズカメラ:Nikon Zf
引用:Nikon
先ほども紹介したように、Nikon ZfはFM2にインスパイアされたクラシックなデザインが特徴的なカメラです。
その中身についても、Nikonのフラッグシップ機にも劣らないほど最新の技術が凝縮されたカメラとなっています。
これまで、Nikonはオートフォーカスの性能が他社メーカーと比較しても見劣りするところがありましたが、Z9やZ8でも使用しているEXPEED7という画像処理エンジンに変わってから、オートフォーカス性能が格段によくなり、その性能はZfにも受け継がれています。
また、最大8.0段の光学式手ぶれ補正機能は、Z9やZ8の手ぶれ補正機能を上回る性能となっているので、望遠撮影に適したカメラとなっています。
また、階調豊かなNikonの特性を活かした2つのモノクローム撮影を楽しむことができるのも特徴です。
Zfは発売当初から人気が高く、納期が半年待ちになるというくらい、想定を超える予約が入ったと言われています。
これだけ人気となった理由の一つが手頃な価格です。
Z9やZ8と同じ画像処理エンジンを使用して、さらに高い光学式手ぶれ補正機能を使用しているにもかかわらず、Z8の半値に近い価格で購入できるのは驚きです。
オシャレに写真を楽しむためのカメラ:Nikon Zfc
引用:Nikon
Nikon zfcは、Nikon Zfよりも先に発売されたAPS-Cサイズのミラーレス一眼カメラです。
zfcの特徴は、クラシックなデザインと気軽に持ち出すのにちょうどいいサイズ感です。
APC-Cサイズということで、Zfよりも一回り小さくて軽いので、単焦点レンズNIKKOR Z 28mm f/2.8と合わせて使うことで気軽に持ち出してスナップ撮影を楽しむことができます。
Zfcは外の革張りを自分好みの色にカスタマイズできるプレミアムエクステリアというサービスもあるので、自分らしさに合わせたファンションアイテムとしても人気があります。
性能としては、Zfよりも一世代前の画像処理エンジンを使用しているのでオートフォーカス性能が今ひとつであったり、ボディ内手ぶれ補正がないという欠点はあります。
ですが、その分価格が安く、11万円前後で購入できるので、これから一眼カメラを始めてみようという人にもぴったりの1台と言えます。
Nikonファンが絶賛するハイエンドカメラ:Nikon Z8
引用:Nikon
Nikon Z8は2023年5月に発売されたカメラで、Z9というフラグシップカメラの性能を受け継ぎ、さらに体積比で約30%小型化したハイスペックなカメラとなっています。
Nikonのカメラは堅牢製や防塵・防滴性能が高いカメラというイメージがあり、Z8も−10度という過酷な撮影環境や雨や砂が舞う環境でも耐えられる信頼性があるので、大自然をフィールドとしたユーザーにとても人気の高いカメラとなっています。
有効画素数4571万画素という高画素機であるため、拡大してもディティールが損なわれないため望遠撮影に向いているほか、8Kなど高画質な動画撮影にも向いています。
最新の画像処理エンジンEXPEED 7により、被写体の認識機能や追従性能が向上し、秒間20コマの高速連写が可能となっています。
5軸6段のボディ内手ぶれ補正と電子式手ぶれ補正によりブレを抑えた動画撮影が可能となりますが、手持ちではブレが残るほか、画角が約25%クロップされるので、本格的な動画撮影をする際には三脚やジンバルが必要になります。
写真性能が高く、タフに使えるZ8はプロの写真家やNikonを使い続けるファンからの強い信頼があるカメラで、D850などの一眼レフを使っていたユーザーからも絶賛されるカメラとなっています。
まとめ
NikonはZマウントという55mmの口径による光学設計で、階調が豊かで背景のボケ味が美しいメーカーとなっています。
一眼レフ時代からの高い技術力でプロの写真家からの信頼も強く、最近はZfなどクラシカルなデザインにより若い世代からの人気も集めています。
Nikonのカメラは動画撮影もできますが、その機能や造りは写真をメインで撮影する方にオススメのカメラメーカーと言えるでしょう。
Nikonはミラーレス一眼カメラとしては、後発であることからカメラやレンズのラインナップが少なく、サードバーディレンズも従分ではありませんが、だんだんとその穴を埋めていくことができれば、ミラーレス一眼カメラのトップを狙える実力は十分にあると考えています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
この記事が皆様のカメラ選びの一助となれば嬉しく思います。