「Panasonicのカメラにはどんなイメージがありますか」
この質問に対して、多くの方が「動画に強い」と答えるのではないでしょうか。
Panasonicは、Lumixという、マイクロフォーサーズとフルサイズの2つラインでミラーレス一眼カメラを製造販売しており、どのカメラも動画性能に高い評価があります。
評価の高いポイントとしては、強力な手ぶれ補正機能、長時間撮影が可能な放熱構造、編集の自由度が高い記録方式やナチュラルな色味などがあります。
この記事では、Panasonicのカメラが気になっている方向けに、Panasonicの動画性能の強みとレンズの特性について解説するとともに、2024年4月時点でおすすめするミラーレス一眼カメラ、DC-S5M2 と G100D の2機種を紹介します。
この記事を読んでいただくと、Panasonicのカメラの特徴を理解して、目的にあったカメラを選ぶことができるようになるので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いている私は、カメラ歴15年以上、フォトマスター検定試験1級の資格を取得しているYOSHIです。
私のブログでは、初心者の方がカメラを手にして写真を楽しむことができるように、カメラやレンズの話、撮影スキルなどについて紹介しています。
初心者からプロまで選びやすい動画と静止画のハイブリット
Panasonicは、動画性能が高いことで知られており、動画も静止画も撮れるハイブリットなカメラとして人気があります。
現在、Panasonicは、ミラーレス一眼カメラとして、マイクロフォーサズのGシリーズと、フルサイズのSシリーズの2つのラインでカメラを製造販売しています。
Panasonicがデジタルカメラ部門に参入したのは2001年と後発でしたが、、世界で初めてレンズ交換式のミラーレス一眼カメラDMC-G1を発売して以来、GシリーズからSシリーズへと生産ラインを拡大していき、初心者からプロユーザーまで幅広い層から選ばれるようになりました。
動画に強いLumixのはじまり
カメラ好きの人であれば「Panasonicは動画に強い」という話を一度は聞いたことがあるかも知れません。
Panasonicは、2001年にLUMIXというデジタルカメラブランドを立ち上げる前から、家庭用ビデオカメラの開発に携わっていました。
そして、ビデオカメラの開発で蓄積した技術を活かし、2008年に世界初のレンズ交換式のミラーレス一眼カメラDMC-G1が発売され、翌年にはハイビジョン撮影機能を搭載したDMC-GH1が誕生しました。
以来、LUMIX GHシリーズは、長時間録画に必要な放熱構造や手ぶれ補正などのハイパフォーマンスな動画性能と静止画性能のハイブリッドカメラとして広く認知されるようになりました。
Gシリーズを受け継いだフルサイズ機のSシリーズ
LUMIX Gシリーズは、誰もが扱いやすい一眼を⽬指して、マイクロフォーサーズという小さい規格のイメージセンサーを立ち上げ、特に動画の性能が高いカメラを開発してきました。
しかし、ミラーレス市場に各メーカーが参入していく中で、いずれはフルサイズミラーレスの市場が拡大することが予測され、Panasonicは水面下でフルサイズ機の導入を検討していました。
そして、2019年、PanasonicはGシリーズの性能を受け継いだフルサイズカメラ、DC-S1/DC-S1Rの2機種を発売し、その年の「カメラグランプリ2019大賞」を受賞しました。
その半年後に発売されたDC-S1Hは、世界で初めて6K/24pの動画記録に対応したフルサイズのレンズ交換式デジタルカメラであり、放熱ファン搭載により動画記録の時間無制限を実現しました。
以降、Panasonicは、機動性に優れたマイクロフォーサーズのGHシリーズと、画質を追求したフルサイズのSシリーズの2つの方向でカメラを開発しています。
高品質かつ選択肢が多いレンズマウント
Panasonicは、マイクロフォーサーズの「Gシリーズ」とフルサイズの「Sシリーズ」のカメラを開発しています。
Gシリーズでは「マイクロフォーサーズマウント」、Sシリーズでは「Lマウント」というレンズマウントを採用しています。
それぞれのレンズマウントで「LEICA」と協業して開発した、高品質なレンズを開発しており、OLYMPUSやSIGMAなど他社メーカーのレンズを含めて幅広いラインナップからレンズを選択できるという特徴があります。
「LEICA」との協業とマイクロフォーサーズマウントを採用した”Gシリーズ”
Panasonicは、本格的にデジタルカメラ市場へ参入する際、「カメラブランドとして信頼されること」が必要と考え、レンズの名門LEICAとの協業が決まりました。
これにより、Lumix Gシリーズレンズは、ライカの厳しい審査をクリアし、「LEICA」の名を冠することが許された「LEICA DG レンズ」と、軽量コンパクトで優れた画質を有する「Lumix G レンズ」の2つのラインでレンズを開発しています。
また、Lumix Gシリーズのカメラは、「LEICA DG レンズ」と「Lumix G レンズ」以外に、OLYMPUSの「M.ZUIKO レンズ」が使用できるのも特徴です。
Lumix Gシリーズのレンズマウントは、OLYMPUSと共通の「マイクロフォーサーズマウント」という規格を使用しています。
これにより、Panasonic純正のレンズ以外にもOLYMPUSの純正レンズも同じように使えるため、幅広いラインナップから好みのレンズを選ぶことができるというメリットがあります。
「Lマウントアライアンス」を組んだフルサイズの”Sシリーズ”
フルサイズ機のLumix Sシリーズのレンズマウントは「Lマウント」が採用しています。
「Lマウント」は、マウント直径51.6mm、フランジバック20mmという規格のレンズマウントで、ライカカメラAGがライセンスを所有し、PanasonicとSIGMAに使用ライセンスが付与されています。
LEICAとは、Panasonicがデジタルカメラ参入時からレンズ開発で長期的にパートナーシップを結んでいたこと、SIGMAとは、マイクロフォーサーズシステムの開発を共同で行ってきた経緯があり、Panasonicが仲介役となってアライアンスを形成し、多様性のあるLマウントの共同開発が進められました。
Lマウントは、LEICA、Panasonic、SIGAMAの三者三様の異なる強みを生かした、レンズ・カメラの豊富なライナップが特徴です。
レンズで言うと、Panasonicでは「LUMIIX S PROシリーズ」がライカの厳しい審査をクリアた高品質なレンズ群で、「LUMIX S シリーズ」がフルサイズカメラを多くの方に楽しんでもらうために開発された機動性が高く、優れた描写性能を有するレンズ群になります。
「LUMIX S シリーズ」では、「F1.8単焦点レンズシリーズ」という、デザインやレンズ口径が同じの単焦点レンズが、18mmから85mmまで5本用意されているのも特徴です。
SIGMAから販売されているLマウントレンズも、フルサイズとしては廉価でありながら、高品質で高い描写性能が人気のレンズを提供しています。
ナチュラルできめ細やかな描写性能
Panasonicが目指すカメラのコンセプトに「生命力・生命美」というものがあります。
よく、Panasonicの出す色味は、ナチュラルでスキントーンが美しいと言われます。
ナチュラルというのは、ただ見た目に近い色を再現するというのではなく、人が感じる肌触りや温度感、空気感といった見えないものまで伝わるように、色彩や諧調、シャープネスなどを微妙にコントロールして表現しています。
そのため、マイクロフォーサーズという小さいセンサーサイズのカメラでも、ダイナミックレンジが広くて階調豊かな絵であったり、ディテールが表現された線の細い描写を実現しています。
動画の色味を編集するカラーグレーディングを行う際には、色味がニュートラルであることが重要で、Panasonicは、余計な色味が足されていない分、編集で自分の好みの色を載せやすいという特徴があります。
2024年 Panasonicで人気の高いカメラ3選
ここまで、O Panasonicが誇る防塵・防滴性能や、独自の画像処理機能などについて見てきました。
ここからは、2024年現在でPanasonicで人気の高いカメラを2つご紹介していきます。
新世代のオールラウンドフルサイズ DC-S5M2
DC-S5M2は、2023年2月に発売されたカメラで、「カメラグランプリ 2023」をはじめとする数々の受賞した、注目度の高いカメラです。
注目されたポイントとしては、高いコストパフォーマンス、LUMIX初の像面位相差AF、リアルタイムLUTなどの高い動画性能があります。
性能にもよりますが、フルサイズ一眼カメラは、スタンダードモデルで30万円前後になるものがほとんどである中、DC-S5M2は約20万円で購入できるコストパフォーマンスが非常に高いカメラとなっています。
価格が安い分、性能が低いかというとそうでもなく、手ぶれ補正機能、AF性能、電子ビューファインダー、動画記録方式などが、高いレベルで搭載されています。
LUMIXでは、AF性能が、他社メーカーと比べて見劣りするところがありましたが、DC-S5M2から新たに像面位相差AFという検出方法が追加されたことにより、幅広いフォーカス領域と動きのある被写体への追従性が大きく向上しました。
さらに、動画性能では、リアルタイムLUTという技術が新たに搭載されたり、4K60Pのフレームレートで、4:2:2 10bitで記録できるという、高性能な動画性能を備えています。
リアルタイムLUTとは、動画撮影時にLUTと呼ばれる色情報をあらかじめカメラに割り当てられる機能で、撮影後に色味の補正を行わなくても良くなり、ワークフローを効率化できる機能になります。
最近では、自分の好みの色のLUTをクリエイターから購入したり、自作する人も増えてきているので、リアルタイムLUTを使うことで、仕上がりを最初からイメージできるというメリットがあります。
DC-S5M2は、特に動画向けの機能が充実していますが、静止画でも十分なスペックを備えているので、これからフルサイズカメラを始める人に最適な、オールランドな1台となっています。
初めてフルサイズカメラを購入する方には、標準ズームレンズ「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」と、大口径標準単焦レンズ「LUMIX S 50mm F1.8」が付属した、LUMIX DC-S5M2Wがおすすめです。
全て別々で揃えようとすると35万円くらいするのですが、こちらのセットだと28万円くらいになるため、とてもお得です。
カメラとレンズを別で購入したい方には、SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN というレンズがおすすめになります。
このレンズは、大三元レンズと呼ばれる、F2.8通しの明るいレンズでありながら、500gを切る軽さと、純正レンズと同等の手ぶれ補正も効くので、写真撮影でも描写力の高い絵を撮ることができます。
G100D
G100Dは、2024年1月に発売された、Vlog用の小型・軽量カメラです。
Vlog用カメラというと、SONY ZV E-10のようにファインダーがないものが多いですが、G100Dはフルサイズ機のDC-S5でも使用されている、高精細な236万ドットのOLEDファインダーが付属しているので、動画をメインでやりたいけど写真も撮ってみたいという方におすすめのカメラになります。
G100Dは、2020年8月に発売された、G100の後継機にあたり、ビューファインダーの改良、USB Type-C が使用できるようになるというマイナーチェンジがありました。
動画性能は、ハイエンドクラスのGH6やG5M2には及びませんが、4K30Pの動画撮影や5軸ハイブリット手ぶれ補正などの機能がついていて、9万円前後で購入できるという、コストパフォーマンスに優れたカメラになります。
G100Dは、Volgカメラとしての内蔵マイクも優秀で、NOKIA社製の「OZO Audio」が搭載されていて、指向性の高く、高音質でクリアな収音が楽しめます。
G100Dは、Lumix GシリーズやOLYMPUS M.ZUIKOレンズなど、マイクロフォーサーズマウントの幅広いレンズの選択肢があるので、動画や静止画など撮影用途に合わせて、レンズを選びやすいのも魅力の一つです。
345g(バッテリー含む)と軽量・コンパクトなカメラなので、LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4やLEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7などの、薄型の単焦点レンズとのバランスもよく、スナップ撮影に最適です。
一眼カメラを始めてみたいけど、価格が気になる方、レンズを交換して撮影を楽しみたい方、Vlogメインだけど写真もやりたい方に最適のカメラとなっています。
まとめ
Panasonicは、動画にも静止画にも強い、ハイブリットなカメラを得意とするカメラメーカーです。
特に動画性能においては、手ぶれ補正機能、放熱機能、画像記録方式などの性能が高く、最新機種であるDC-S5M2では、像面位相差AFが搭載されてAF性能も大きく向上しています。
Panasonicが出す色にも人気があり、ナチュラルな色味はカラーグレーディングで自分好みの色に仕上げやすく、ダイナミックレンジが広くスキントーンが美しいという特徴があります。
Panasonicのカメラは、機動性に優れたマイクロフォーサーズのGシリーズと、画質を追求したフルサイズのSシリーズの2つの方向でカメラを開発しています。
どちらのシリーズも、LEICAが認める高品質なレンズや、OLYMPUSやSIGMAなどPanasonic以外のレンズが使用できて、幅広い選択肢の中から、撮影目的にあったレンズを選べるというメリットがあります。
動画に強いカメラというと、SONYと比較して検討される方も多いと思います。
実際に、SONYでは、FX30やZV-E1など動画に振り切ったカメラがあり、性能についてもDC-S5M2やG9Pro2と拮抗しています。
そうした中で、PanasonicかSONYどちらのカメラを選べばいいのかというと、私個人の意見としては、「写真も撮りたいかどうか」という点と「編集の色味に納得できるかどうか」という点だと感じます。
Panasonicのカメラには、高精度なビューファインダーや光学式手ぶれ補正機能を搭載しているので、写真を撮っていてもストレスなく、快適に撮影できるという魅力があります。
動画だけに振り切るのであればSONY、動画も静止画もどちらも撮りたいというのであればPanasonicという基準で考えればいいのではないでしょうか。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
今回の記事が皆様のカメラ選びの一助となれば嬉しく思います。