お店で並んでいるカメラを見ていると、同じ形をしたカメラなのにどうしてこんなに値段が違うんだろうと疑問に思ったことはありませんか。
その理由の一つに、カメラに使われている”イメージセンサー”が違いがあります。
今回は、この”イメージセンサー”について、初めてカメラを買う方にも分かりやすく解説していきます。
この記事を読むと、イメージセンサーとはどういうものか、イメージセンサーのどこを基準にカメラを選べば良いか分かるようになるので、ぜひ最後まで読んでいってください。
この記事を書いている私は、カメラ歴10年以上、フォトマスター検定試験1級の資格を取得しているYOSHIです。初心者の方がカメラを手にして写真を楽しむことができるように、カメラやレンズの話、撮影スキルなどについて紹介しています。
また、私のブログでは一眼カメラを買おうか迷っている人が、自分にはどんなカメラやレンズが合うのかという質問にお答えしていますので、気になる方はお問い合わせページからご連絡ください。
イメージセンサーってどんなもの
カメラの専門用語でよく使われる”イメージセンサー”は、同じ意味で”撮像素子”と呼ばれることもあります。
聞きなれない名前なので、どういうことに使われているのか、そしてどれくらい重要な部品なのか分かりづらいですよね。
よく例えられるのは、イメージセンサーは「フィルムカメラのフィルムに当たるもの」と言われていますが、そもそもフィルムカメラを知らない人にとってはその例えすらも分かりづらいですよね。
もっとアバウトに例えるなら、映画館のスクリーンのようなものです。
いくら高性能な映写機が使っていても、スクリーンがないと映画を見れませんよね。
つまり、イメージセンサーの役割は「カメラに入ってきた光を受け取り、デジタル画像として見せる」ことです。
このイメージセンサーがあるおかげで、私たちはスマートフォンで撮影するときも画面を見ながら撮影することができるのです。
しかし、映画館でもスクリーンであればどれでもいいかというとそうでもないですよね。
スクリーンが小さかったり、反射率が高かったりするとせっかくの映画が台無しです。
これと同じようにイメージセンサーにもカメラに最適な大きさや性能があり、これによって画質が大きく影響されるのです。
では、何を基準にイメージセンサーを選んだら良いのでしょうか。
それはこの後に説明する、「センサーサイズ」と「画素数」が大きく影響してくるので、それぞれ順に解説していきます。
サイズの違い
イメージセンサーはカメラに入ってきた光を受け取る場所になるので、その面積が大きいほどより多くの光を取り入れることができます。
つまり、センサーサイズが大きいほど、色を詳細に表現することができて、暗い場所でも画質を落とすことなく撮影することができるのです。
また、被写体以外の背景を大きくぼかしたりできるのもセンサーサイズが大きいカメラの特徴と言えます。
そのため、写真撮影ではセンサーサイズが大きいほど表現の幅が広がるため有利とされています。
ただし、イメージセンサーが大きいということは、それだけカメラやレンズを大きくしないといけないので、持ち運びやすさも含めて自分に合ったカメラを選ぶ必要があるというわけです。
イメージセンサーの規格
イメージセンサーの大きさには図のようにいくつかの決まった規格があります。
覚えににくい名前の規格ですが、これを知っておくとカメラの性能を評価するのに役立ちますので、ぜひ覚えておきましょう。
では、それぞれのサイズの特徴について見ていきましょう。
35mm フルサイズ
このサイズは、一般的に普及している一眼カメラの中では最も大きなセンサーサイズとなります。
このイメージセンサーを使用しているカメラは、SONYのα7Ⅳ、CANONのEOS R6 MarkⅡ、NIKONのZ6Ⅱ、PanasonicのLumix DC-S5M2などがあります。
特徴としては、暗い場所の撮影でも高画質な写真が撮れること、背景のボケ量が多くなること、階調(色や明るさを表現できる幅)が大きくなることなどがあります。
イメージセンサーが大きいため、カメラやレンズも全体的に大きく重くなり、それに伴い予算も上がっていきます。
画質にこだわりたい、ボケ感のある写真を撮りたいという方は、このサイズのイメージセンサーがおすすめです。
ちなみに、なぜ”35mm”と呼ぶかというと、一般的なフィルムのサイズが縦幅35mmのものが使用されており、フィルムからイメージセンサーへと移行する際に、そのフィルムが露光できるサイズに合わせたからだと言われています。
APS-C
35mmフルサイズの次に大きいイメージセンサーの規格がAPS-Cになります。
このイメージセンサーを使用しているカメラは、SONYのZV-E10、CANONのEOS R7、NIKONのZ30、FUJIFILMのX-S10などがあります。
APS-Cの特徴としては、画質や大きさなどのトータルのバランスが良いことと、望遠に強いという点です。
35mmフルサイズほどぼけ量は多くないし、暗い場所では画質が落ちますが、それでも一般的なスマートフォンに比べれば十分高画質な写真を撮ることができます。
また、カメラやレンズがコンパクトにまとまるため、登山や旅行に持っていく場合や手持ちで動画撮影をする際にも丁度いい大きさです。
少し専門的な話になりますが、35mmフルサイズと比べると同じ焦点距離のレンズを使用した場合、約1.5倍拡大して撮影することができるため、望遠撮影にも向いています。
一方で、注意が必要なのは、APS-Cに対応しているレンズはフルサイズほど多くはありません。
そのため、APS-C機のカメラを購入する際には、自分が使いたいレンズがあるかどうかも確認するといいでしょう。
FUJIFILMはAPS-C機を中心にカメラを生産しているので、選べるレンズが豊富にあるのでおすすめです。
ちなみに、APS-Cという名前の由来は、フィルムカメラの時代にフィルムの画角を選べる”アドバンスト・フォト・システム”という規格から来ています。
このアドバンストフォトシステムは、縦横比をH(ハイビジョン 16:9)、P(パノラマ 3:1)、C(クラシック 3:2)に切り替えることができました。
このサイズと比率がデジタルになっても引き継がれて使われているというわけです。
マイクロフォーサーズ
マイクロフォーサーズは、一眼カメラの中では最も小さいセンサーサイズです。
OLYMPUSやPanasonicのカメラだけの規格となっており、OM SYSEM OM-1やPanasonic GH6などのカメラがあります。
特徴は、センサーサイズが小さいことから、カメラやレンズをAPS-Cよりもさらにコンパクトにできることです。
また、望遠側に強いため、野鳥や飛行機など遠くの被写体を撮るのに適しています。
一方で、センサーサイズが小さいことからボケ感のある写真は撮りづらく、暗所での撮影にも向いていません。
マイクロフォーサーズ機を使用する場合は、高性能なレンズとの組み合わせにより欠点を補うといいでしょう。
ちなみに、フォーサーズとは4/3型のイメージセンサーを使用しており、縦横比も4:3となっていることが由来となっています。
フィルムカメラの時代にOLYMPUSとコダックがフルサイズの半分のサイズのフィルムを使っていましたが、時代がフィルムからイメージセンサーに移行するにあたりマイクロフォーサーズと呼ばれるようになりました。
1インチ(1型)
1インチ(1型)センサーは、カメラとレンズが一体となったコンパクトカメラ(デジカメ)で一般的に使用されているセンサーサイズです。
このセンサーサイズが使われているカメラは、SONYのZV-1やDSC-RX100Mark7、CANONのPower Shot G7X MarkⅢなどがあります。
特徴は、スマートフォンのセンサーサイズと比べると面積比が約4倍あり、スマートフォンより高画質な写真を撮影できるのに、ポケットに入るようなコンパクトなサイズで持ち運びやすいことです。
ただし、コンパクトカメラであるためレンズを交換することができないため、レンズは標準ズームが使用されている場合がほとんどです。
カメラを買う際には、焦点距離と最小F値を確認するようにしましょう。
最近では、スマートフォンの画質が向上してきているため、コンパクトカメラだとスマートフォンとの差別化が難しく生産数が落ち込んでいる傾向があります。
1インチセンサーより小さいイメージセンサー
1インチセンサーより小さいイメージセンサーは主にはスマートフォンで使用されています。
一般的には1/2.3型と呼ばれるサイズが多いようですが、機種によって様々です。
例えば、i Phone 16 Proに使用されているカメラには3つのレンズが搭載されていて、メインは1/1.3インチ、広角は1/2.5インチ、1/3.6インチというように、それぞれ異なるサイズのイメージセンサーが使われています。
スマートフォンのサイズにカメラを収めるためにはイメージセンサーの大きさに限界がありますが、コンパクトカメラと比べても遜色ないほど綺麗に撮れるスマートフォンが増えてきています。
画素数の違い
次に、画素数に注目して見てみましょう。
カタログなどを見ると、2000万画素、5000万画素、あるいは1億画素というようなカメラまであります。
画素数が多ければ多いほどカメラとしての性能が良いように思えてしまいますが、一概にそうとも言えません。
ここでは画素とは何か、どれくらいの画素数があれば良いのかということについて見ていきましょう。
画素とは
デジタル画像をどんどん拡大していくと、モザイクアートのように四角いブロックがいくつも並んで画像が作られているのがわかると思います。
このブロック一つひとつが画素です。同じ意味でPixel(ピクセル)ともいいます。
画素が多く、細かければ細かいほど画像は繊細になります。いわゆる高画素というものです。
高画素であれば画像を拡大した時により鮮明に表示することができるため、望遠撮影や細かいディテールを必要とする撮影に向いています。
高画素と高画質という言葉はよく似ていますが、同じ意味ではありません。
高画質というのは、画像の解像度、階調、ノイズ、ボケ具合、収差など様々な項目で判断されるため、明確な基準がありません。
一方高画素というのは、画素数が大きいか少ないかで判断するため、高画素だからという理由だけでは高画質と呼ぶことはできません。
画素数が少ないことのメリット
画素数が少ないイメージセンサーのメリットは次の3つです。
- 階調が大きくなる
- 暗所での撮影でノイズが少なくなる
- データの容量が軽くなる
画素には大きさに決まりがないため、高画素にしようと思えばいくらでも細かくすることができますが、高画素にすればするほど一つ当たりの画素の面積は小さくなります。
例えば、同じ35mmフルサイズのイメージセンサーであっても、それを2000万画素にするのか、4000万画素にするのかで、1つの画素における面積は2倍の差があることになります。
イメージセンサーは光を効率よく取り入れることで、色を詳細に表現したり、階調が大きくなります。
そして、1画素あたりの受光面積が大きくなるほど、暗所での撮影に強くなります。
また、画素数が少ないことで、データの容量が軽くなるため、SDカードやHDD、SSDなどに保存する際にも容量を取らずに取り込むことができます。
また、1000万画素くらいあれば、PCやスマートフォンで画像を見る程度であれば、高画素機と比べても画素数の違いは分かりません。
そのため、敢えて画素数が少ないセンサーを使用するカメラもあります。
画素数別カメラのライナップ
Sonyを例に解説すると、Sonyのαシリーズというミラーレス一眼にはいくつもの商品ラインナップがあります。
この中で画素数の違いによりラインナップがはっきり分かれているものがあります。
α7Rシリーズは、高画素機のシリーズであり、「R」はResolution(高解像度)という意味です。
2022年11月発売されたα7RⅤは6100万画素の高解像度機となっています。
反対に、α7Sシリーズは、低画素機のシリーズであり、暗所での撮影や動画撮影に向いた機種になります。
2020年10月に発売されたα7SⅢは1210万画素という低画素にすることで、暗所での低ノイズ化やダイナミックレンジの広さを実現しています。
一般的には、α7Ⅳやα7Cのように2000万画素から3000万画素あたりがバランスが取れて使い勝手が良いとされています。
まとめ
イメージセンサーは、画質に影響を与えるとても重要な要素です。
センサーサイズが大きいカメラの方が画質では有利になりますが、大きすぎるカメラは持ち出すのも不便ですし、予算も大きくなります。
カメラを購入する際には、レビューやおすすめだけで選ぶのではなく、自分が何を撮りたいのかを考えた上で自分に合ったセンサーサイズのカメラを選ぶといいでしょう。
例えば、夜景を撮りたいのであれば、センサーサイズの大きい35mmフルサイズやAPS-Cのイメージセンサーを使用しているカメラを選ぶでしょうし、ポケットに入るサイズで気軽に写真を楽しみたいのであれば、1インチ(1型)のコンデジや最新のスマートフォンでもいいでしょう。
また、暗いシーンで撮影することが多い場合には、センサーサイズだけでなく有効画素数にも注目してなるべく少ない画素数の機種を選ぶとノイズが少ないく高画質な写真が期待できるでしょう。
この記事が皆さんのカメラ選びの参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。