撮影シーン

【カメラ初心者向け】2023年ふたご座流星群を撮影するために必要な機材とは

撮影シーン

日本の三大流星群のひとつとして知られ、年間最大の流星群となるのが「ふたご座流星群」です。
今年は観測条件が良く、12月15日0時から3時くらいは、人工の灯りが少ない場所では1時間に70個ほど観測できる可能性があることから、今年最後にして最大の天文イベントになりそうです。

この記事をご覧になっている方の中には、この機会に流星群の写真を撮ってみたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、星の写真は最新のスマートフォンでも撮影するのは難しく、一眼カメラなどの専用機材や撮影知識がないとうまく撮影することができません。
星は初心者にはハードルが高い被写体とされていますが、それだけに撮影できた時の感動は大きく、他の被写体では得難いものがあります。
また、星の写真は撮影できる人が少ないうえ、希少な流星群の写真となるとInstagramやX(twitter)で大きな反響があることは間違いありません。

そこで、この記事では流星群の撮影をやってみたいというカメラ初心者の方に、撮影に必要な最低限の機材について分かりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いている私は、カメラ歴10年以上、フォトマスター検定試験1級の資格を取得しているYOSHIです。
初心者の方がカメラを手にして写真を楽しむことができるように、カメラやレンズの話、撮影スキルなどについて紹介しています。
また、私のブログではコンデジや一眼カメラを買おうか迷っている人が、自分にはどんなカメラやレンズが合うのかという質問にお答えしていますので、気になる方はお問い合わせページからご連絡ください。

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カメラ・レンズ

真っ暗な環境で「星」という小さな光を捉えるためには、カメラの中にできるだけ多くの光を取り込むことができるカメラを使用しなければいけません。
撮影設定を変更できるカメラを使うことは大前提になりますが、スマートフォンなど小型のカメラでは光を十分に取り込むことが難しいので、どうしても一眼カメラなど大きいカメラが必要になってきます。
また、カメラの性能を発揮したり、流星群のように広い画角で撮影するためには星の撮影に適したレンズが必要になります。

星の写真に向いているカメラとは

撮影に使用するカメラはスマートフォン以外であればどれでもいいかというとそうではありません。
星を綺麗に撮影するためには、いくつかの条件をクリアしたカメラを選ぶ必要があります。
ここでは、星の写真に向いているカメラの条件について3つご紹介します。

一つ目は、「f値」、「シャッタースピード」、「ISO感度」を設定できることです。
星を撮影するためには、できるだけ多くの光を取り込むことができるように「f値」、「シャッタースピード」、「ISO感度」の3つを設定(マニュアル設定)できるカメラでなければなりません。
特にシャッタースピードは、何十秒もシャッターを開けておかなければいけないので、オートでしか撮影できないカメラでは必要な光を取り込むことができず、ただ真っ暗な写真になってしまいます。

2つ目は、レンズ交換ができることです。
レンズを選ぶことでより多くの光を取り込めるレンズを使用したり、広い画角を写したりすることができるようになります。
カメラとレンズの組み合わせが固定されているコンパクトカメラでは、専用のレンズを使用していないのでカメラの性能が良くても十分な結果を出すことができません。
そのため、レンズを交換ができる一眼カメラの方が有利となります。

3つ目は、イメージセンサーサイズの大きいカメラを選ぶことです。
イメージセンサーとは、カメラに入ってきた光を電気信号(画像)に変換する重要な部品で、図のように大きさによって規格が決まっています。
一般的にイメージセンサーの面積が大きいほど光を多く取り込むことができるため、暗いシーンでも綺麗な写真を撮ることができます。
スマートフォンに搭載されているのは、1インチ(1型)か、それよりもさらに小さい1/2.3型のイメージセンサーを使用しているものが主流となっています。
星の写真に向いているカメラとしては、APS-Cセンサー35mmフルサイズセンサーを使用したものが理想になります。 

星の写真に向いているレンズとは

 星の写真でも特に流星群の撮影に向いているレンズの条件は「明るいレンズであること」と「広角レンズであること」です。

「明るいレンズ」というのは、カメラの用語で「解放f値が小さいレンズ」と言う意味で使われます。
少し専門的な話になりますが、「f値」というのはレンズの中で光が通る穴の大きさを表したもので、カメラに入ってくる光の量をコントロールします。このf値が小さいほど穴が大きくなり、多くの光を取り込むことができます。
「解放」というのは、t値をどれだけ小さくできるか(光が通る穴を大きくできるか)というものになります。
つまり、解放f値が小さいレンズというのは、「光を多く取り込めるレンズ=明るいレンズ」ということになります。
一眼カメラを買った時に標準で付いてくるレンズの場合、この解放f値がf3.5とかf4.3のものが主流となっています。
星の撮影に適したレンズの基準としてはf2.8より小さいレンズが理想となります。

「広角レンズ」というのは、風景写真のように広い画角で写真を撮るのに適したレンズをいいます。
特定の星座や月などを撮る場合には、必ずしも広角レンズである必要はありませんが、流星群のようにどこに現れるか分からない被写体を撮るためには、できる限り空いっぱい写せる「広角レンズ」が必要になります。
広角レンズかどうかを判断する指標に焦点距離(〇〇mm)という数字があり、この数字が小さいほど広く写せるレンズになります。
一般的な標準レンズでは焦点距離が28mmから70mm(35mm換算)までの範囲で変更できるズームレンズが多いですが、流星群を撮影する場合には、14mmから20mm(35mm換算)くらいの画角で撮影できるレンズが必要になってきます。

 

星の撮影におすすめのカメラ・レンズについては、こちらの動画でまとめているのでご覧ください。
>>【カメラ初心者向け】2023年ペルセウス座流星群の撮影にベストなカメラ・レンズとは

三脚

星の写真の撮影では、シャッタースピードを10秒から20秒くらいかけて撮る必要があります。
手持ち撮影だと手ぶれを起こしてしまうため、三脚を使ってカメラを固定する必要があります。
三脚を選ぶときのポイントとしては、カメラとレンズを合わせた重さ以上の耐荷重があるかどうかと、風で倒れないように足が太く重さのある三脚を選ぶといいでしょう。
流星群を撮影する場合は、いつどのタイミングで星が流れてくるか分からないので、長時間撮影することになります。
ずっとカメラの前で構えていると寒さに耐えられなくなるので、自動で連写できる設定にしたら車などに避難することになると思います。
そのため、時々強い風が吹いても倒れないくらいガッシリとした三脚を使用したり、足を短くして倒れにくくすることが重要です。
三脚の値段も3000円くらいから10万円くらいとピンキリですが、最初は5000円から10,000円程度の三脚で試してみて、後から自分の好みに合った三脚を選ぶといいでしょう。
予算に余裕のある方は、マンフロットジッツオという三脚メーカーがおすすめになります。

ジッツオ トラベラー GT0545T 引用:ジッツオ

 

レリーズ

レリーズとは、シャッターを切るためのリモコンです。
なぜレリーズが必要かというと、前述したように星の撮影では長いシャッタースピードが必要になります。 そのため、シャッターを押した時に振動ブレが発生することがあります。
このブレを抑えるために、レリーズが必要となります。
レリーズには有線タイプと無線タイプがありますが、有線タイプだと接続が途切れる心配がなく、機能がシンプルで安価なものが多いです。
レリーズに必要な機能としては、シャッターボタンを固定する機能です。
流星群の場合は、連続撮影した写真の中から流星が写っているのを選ぶので、シャッターボタンを押しっぱなしで固定できるレリーズが必要です。
カメラメーカー専用のレリーズもありますが、シャッターを切るだけなら安いレーリーズでも十分代用できます。
購入する際には、カメラに対応している機種かをよく確認しましょう。
ちなみに私は、ROWA JAPANとうメーカーで1,000円以下で購入したものを使っていますが、今のところ不具合はありません。
カメラのタイマー設定(2秒)やインターバル撮影機能で代用することもできるので、絶対なければいけないという機材ありませんが、高い機材ではないので1つは持っておくといいでしょう。

レリーズ RM-VPR1

引用:SONY

 

ライト

目的地に着いたら撮影場所へ移動したり、カメラの設定を操作するのに手元を照らすライトが必要になります。
スマートフォンのライトでもいいのですが、スマートフォンのライトは明るすぎて一瞬でもライトの光がカメラに向いたり風景を照らしたりすると写真としては使い物にならなくなってしまうことがあるため、周りに他の撮影者がいる時は特に注意が必要です。
そのため、ライトは光量や角度を調節できて作業をする時に両手が開くヘッドライト持っていくと快適です。
ヘッドライトならホームセンターに売っているようなもので十分ですが、予算がある方は天体望遠鏡のメーカーであるビクセンが出している天体観察用ヘッドライトSG-L02がおすすめです。
ヘッドライトの他にもキーホルダーにつけるようなミニライトがあると便利です。
カメラから一時的に離れる場合の目印として使ったり、ヘッドライトのバックアップやカバンの中を探したりするの使います。
この場合は100均のライトでも十分です。

ビクセン ヘッドライト SG-L02

引用:Vixen

レンズヒーター

ビクセン レンズヒーター 360IV

引用:Vixen

寒冷地や湿度の高い場所で撮影する場合には、レンズが曇って撮影できなくなることがあります。
そのまま撮影を続けると、最悪の場合レンズ内にカビが発生して修理に出すことにつながるため、結露対策は重要です。
30分以内の撮影であれば結露はあまり心配しなくてもいいですが、流星群のように1時間以上の連続撮影をする場合はレンズヒーターは必須になります。
モバイルバッテーリーからUSBで繋ぐだけのシンプルな構造なので、簡単にセッティングできます。
注意するのは、レンズヒーターを巻く際に、フォーカスリングやズームリングを触ってしまうとピントがズレる可能性があることです。
そのため、レンズヒーターを巻く前には、マスキングテープなどでピントリングやズームリングを固定しておくといいでしょう。
最近は2000円くらいで買えるものが増えてきているので、星の撮影を長く続けるのであれば持っておいて損はないと思います。
また、寒冷地で撮影する場合は、外から暖かい車内や室内に持ち込む際の急激な温度差で結露が発生することがあります。
撮影が終わったらカメラをタオルでくるんだり直接暖房が当たらない場所に置くなどしてゆっくりと室温に慣れさせるといいです。

フィルター

冬の撮影であったらいいのがソフトフィルターです。(なくても問題ないです)
ソフトフィルターを使用すると、一等星などの明る星は滲んで大きく映るため、オリオン座など分かりやすい星座が多い冬の撮影では被写体を引き立てる効果があります。
簡単にセッティングできるのは、プロソフトンというレンズの前面に取り付けるタイプの円形フィルターです。
ぼかしの強さ別に、「クリア」<「A」<「B」と強くなっていきます。 あまりぼかし過ぎると地上部分のディティールが悪くなってしまうので、「クリア」か「A」あたりがおすすめです。
購入する際には、レンズのフィルター径と一致しているかを確認しましょう。
2023年5月にKenkoから「スターリーナイト プロソフトン」という1枚のフィルターに外灯などの光外の影響に色かぶりを防いでくれる光害カットソフトフィルターの機能がセットになったものが発売されたので、都市部に近い場所で撮影する場合にはあると便利です。

Kenko スターリーナイト プロソフトン

引用:Kenko

 

まとめ

星の写真を撮るのには、思ったより機材が必要だなという印象を持った方が多いのではないでしょうか。
機材を揃えるだけでも大変なのに、撮影に必要な知識も必要となるとハードルが高い被写体という認識は間違いではありません。
ですが、これだけ手間のかかる被写体だからこそ、星の写真を撮れた時の感動は大きく、多くの人の心を動かすものになると私は感じています。

今回ご紹介した中で、最も予算がかかるのはカメラとレンズになるでしょう。
カメラやレンズは高額というだけでなく、カメラを趣味で続ける時にも後々影響してくる機材になるので、購入される際には慎重になることをおすすめします。
どうしても決められなかったり、初期投資する予算がない場合は、レンタルサービスから始めてみてもいいと思います。

今回の記事をきっかけに多くの方が星の撮影に興味を持ってもらい、素敵な流星群の写真が生まれれば嬉しく思います。
私もこの機会に流星群の撮影にトライしてみたいと思っています。ぜひ一緒に同じ時間に感動を分かち合いましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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