一眼カメラがあればいい写真が撮れそうだけど、ボタンやダイヤルがいっぱいあって操作が難しそうですよね。
それに「設定」って聞くと、「難しい用語が多くて分からない」だとか「設定なんて面倒」って思いますよね。
カメラを始めたばかりの人が上達しようと思った時、つまづくポイントとして一番多いのが「設定」についての理解が難しいのが理由です。
もちろんカメラの設定を知らなくても写真を撮ることはできますが、自分が意図する写真を撮れるかどうかは設置方法を知っているかによって大きく違います。
そのため、写真撮影の腕を上げて行きたいのであれば、設定についての理解が必須となってきます。
また、設定については一眼カメラだけでなく、スマートフォンにも応用できますので、まだ一眼カメラをまだ持っていない人にも参考になると記事になっていますので、ぜひ読み進めていってください。
この記事を書いている私は、カメラ歴10年以上、フォトマスター検定試験1級の資格を取得しているYOSHIです。初心者の方がカメラを手にして写真を楽しむことができるように、カメラやレンズの話、撮影スキルなどについて紹介しています。
また、私のブログでは一眼カメラを買おうか迷っている人が、自分にはどんなカメラやレンズが合うのかという質問にお答えしていますので、気になる方はお問い合わせページからご連絡ください。
この記事を読んでいただくと、よく分からなかったカメラの設定がわかるようになり、カメラを購入する際にも見るポイントがわかってきて、納得いく買い物ができるようになります。
難しい用語についてなるべく分かりやすく説明しますので、ぜひご覧ください。
カメラの設定が必要な理由
プロのカメラマンは撮影時に「明るさはどれくらいがいいか」「背景のボケ感は適切か」「ピントはどこに合わせるか」など作り上げる写真をイメージして設定を変更していきます。
そのため、写真撮影の腕を上げていくためには、設定変更は必須のスキルとなってきます。
カメラの設定を理解することで得られるメリットは次の3つです。
- 自分の意図する作品を撮ることができる。
- 設定を変更しないと撮影できない被写体がある
- 自分に合ったカメラやレンズを選ぶことができる
それでは、順番にそれぞれ見ていきましょう。
自分の意図する作品を撮ることができる
プロの撮った写真が人の目を惹きつけるのはどうしてでしょうか。
それは、写真を撮るときに撮影者の「ここを伝えたい」という思いが写真に表現されているからではないでしょうか。
例えば、次の写真をご覧ください。
この写真では、子どもが海辺で遊ぶ様子を捉えた写真です。
この写真では主題が子どもですが、あえて明るさの基準を海にして子供をシルエットにすることで「どんな顔をした少年だろう」「どんな表情をしているのだろう」と見る人の想像力を掻き立ててくれます。
また、シャッタースピードを短くすることにより躍動感のある写真に仕上がっています。
このような撮影の場合、カメラにお任せの設定で撮ると人物がはっきり写るように明るさを調整するため、背景が真っ白になってしまったり、被写体がはっきりすることでドラマチックな印象にならないことがあります。
ただし、そういう写真がダメだということではなく、あくまで表現の仕方が変わるということなので誤解のないようお願いします。
設定を変更しないと撮影できない被写体がある
最近のスマートフォンやカメラについては、技術の進化によりカメラに詳しくない人でもシーンに応じた撮影設定に簡単に変更することができます。ポートレート(人物)撮影などはその代表ですね。
しかしながら、最新のカメラを持ってしても設定を変更しないと撮ることできない被写体があります。
その代表格が「星」です。
写真は、被写体の光をカメラで捉えて可視化することによって見ることができます。しかし、星の光はとても小さく、肉眼でも見えない星を撮影するには、自分で設定を変更して光を多く取り込んであげる必要があります。
「星」以外にも「オーロラ」や「蛍」など暗いシーンでの撮影の際には、設定の方法を知っていなければ撮影できない被写体や、「滝」や「車の光跡」など設定を変更することで表現の幅を広げることのできる被写体もあります。
自分に合ったカメラやレンズを選ぶことができる
一眼カメラを始めて買う時、ほとんどの方が「レンズキット」や「ダブルズーム」といった、「カメラ本体」と「レンズ」がセットになっている商品を選ぶことが多いと思います。(「ダブルズーム」というのは、本体と2種類の違ったレンズがついてくるセットの商品です。)
なぜならば、レンズがないとカメラ本体だけでは写真が撮れないからであり、レンズキットだとカメラとレンズが安く手に入るからです。
確かに、レンズキットは多くの人がカメラを始めるにあたってお財布にも優しくて、そこそこの写真が撮れるのでお勧めの商品の一つです。
しかし、あなたが撮りたい写真が決まっている場合はどうでしょう。
例えば、「子どものポートレートで背景をぼかして撮りたい」という場合、キットレンズでは背景をぼかすには限界があり、F値を低く設定できるレンズでなければ写真に対する満足度は低いものとなってしまうでしょう。(F値についての詳細は後述します。)
もし、このようなシーンでの撮影頻度が多いのであれば、初めから「カメラ本体」と「F値を低く設定できるレンズ」の組み合わせで購入した方が、レンズを買い足す必要はなくなるため納得いく買い物ができるでしょう。
そのため、レンズの性能をフルに発揮するためには、設定についての理解が必要となってくるわけです。
表現の幅を広げる3つの設定
カメラで設定する項目はとてもたくさんあります。
この記事は設定の中で特に重要な「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」の3つの設定について紹介します。
この他にも、「ホワイトバランス」「フォーカスモード」「測光」など変更できる設定がありますが、詳細については別の記事で紹介することにします。
それでは、順番に見ていきましょう。
ボケ感を変える「F値」とは
いきなり難しい用語が出てきてきましたが、頑張って見ていきましょう。
「F値」を簡単に説明すると、レンズの中の光の通る穴の大きさを数値化したものです。
と言ってもよく分からないかもしれませんが、人間の目で例えてみましょう。
暗いところから明るいところに入ると、瞳孔(黒目の部分)が小さくなるということを生物の授業で習った記憶はないでしょうか。
これは、瞳孔を小さくすることによって目に入る光の量を減らし、眩しさを軽減しているためです。
これと同じようなことがカメラでも行われており、写真が明るい場合はF値を上げて光の入る量を絞っていきます。
逆に、暗い場所では、F値を下げて光の入る量を増やします。
そのため、「F値」のことを「絞り」などということもあります。
F値には光の入る量をコントロールする役割のほか、ボケの量をコントロールする役割もあります。
F値を小さく(光が通る穴を大きく)すると、ピントが合う範囲が短くなるため、背景がボケた写真になります。
逆に、F値を大きく(光が通る穴を小さく)すると、ピントが合う範囲が広くなって、全体がくっきりした写真になります。
F値はカメラの設定で自由に変更することができますが、F値を選択できる範囲は使用するレンズによって異なります。
例えば、初心者用カメラとして人気のある「CANON KISS M2」のキットレンズ「EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM」というレンズは、広角(広い範囲を写す)側で撮影する場合はF値は3.5まで下げることができ、望遠(ズームして写す)側で撮影する場合は、F値は6.3まで下げることができます。
F値の上限はどちらのF22となっています。
F値をF1.8やF2.0などに設定できるレンズであれば、ボケ感のある写真を撮ることができますし、光を多く取り込むことが出来るので、シャッター速度を速くして手ブレの発生を抑えることができます。
そのため、F値を低く変更できるレンズは、性能が高く高価なレンズとなってくるわけです。
ちなみに、F値の上限はF22などの数値になるものがほとんどですが、F値を高く設定して撮影することもありますが、F値を高くし過ぎると画質が悪くなる現象が発生するため、あまり気にする必要はありません。
瞬間を切り取る「シャッタースピード」とは
「シャッタースピード」は、先ほどのF値と比べるとなんとなくイメージはつきやすいのではないでしょうか。
写真はレンズを通してカメラの中に入ってきた光をイメージセンサーという部品で蓄積して、電気信号に変えることによってモニターで見ることができます。
シャッターというのは、このイメージセンサーの前(レンズ側)にあり、撮影時にシャッターを開くことによりイメージセンサーに光が届きます。
「シャッタースピード」というのは、このシャッターが開いている時間を長くしたり、短くしたりすることで、イメージセンサーで光を蓄積する時間をコントロールするためのものだと思ってもらえれば大丈夫です。
スポーツなどを撮影するときは、一瞬を切り取る必要があるのでシャッタースピードを速くすることで被写体のブレが抑えられ躍動感のある写真を撮ることができます。
また、滝や渓流などを撮影する場合に、逆にシャッタースピードを長くすることにより、水の流れをシルクのように滑らかに表現することも可能です。
暗いシーンでも手ブレを抑える「ISO感度」とは
「F値」に続いて、また難しい専門用語が出てきてもうイヤだってなる気持ちわかります。
でも、あと少しでカメラの設定についての重要な説明は終わります。なるべくシンプルに分かりやすく説明しますので、頑張って読んでくださいね。
スマートフォンでも、一眼カメラでも室内や夜間に撮影するとき手ブレが目立つ写真が多くなったことはありませんか。
これは、カメラが十分な光を取り込もうとシャッタースピードを長くするため発生してしまうものなのです。
しかし、このISO感度について理解をしておけば、手ブレを抑えた写真を撮影することができるようになります。
「ISO」は「イソ」または「アイエスオー」と呼んだりします。
このISO感度って何ですかという話ですが、レンズから入ってきた光を取り込む際の感度を数値化したもので、先に説明したイメージセンサーの中で設定するものです。
と言ってもよくわかりませんよね。
例えて言うなら、アンプのボリュームを変えるようなものだとイメージしてみたください。
ボリュームを上げると言うのは、音声信号をアンプの中で増幅させて聞く人にとって快適な音の大きさに変えることですよね。
これを光に置き換えると、光という信号をセンサーで受け取って、それを増幅させることにより、見る人にとって快適な明るさに変換するというわけです。
つまり、少ない光(暗い場所)でも、ISO感度を上げることで暗い写真を明るくすることができるのです。
こういうと、ISO感度って便利!って思う人もいると思いますが、これにもメリット、デメリットがあります。
メリットは、暗い場所でも写真を明るくすることができるという点ですが、デメリットは感度を上げ過ぎてしまうと、写真がザラザラした感じになり画質が悪くなります。
これをカメラ用語では「ノイズが出る」と言ったりします。
そのため、できればISO感度は低い設定で撮影した方がノイズがなく綺麗な仕上がりになります。
しかし、夜景や室内といったシーンでISO感度が低いままだと、暗い写真になってしまったり手ぶれが発生する原因となってしまうので、ノイズが目立たないくらいまでISO感度を上げる方が全体的にバランスの取れた写真に仕上がります。
最近は、カメラ内や編集ソフトを使ってノイズを取り除くこともできるようになってきましたが、元の画質を落とさないためにも、ISO感度は適正な数値を選択すると良いでしょう。
露出(明るさ)は「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」で決まる
さて、ここまでの「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」についての説明をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。全部を理解するのは難しいかもしれませんが、なんとなくイメージができたのではないでしょうか。
この3つの要素の理解が進んでいくと、どの要素も写真の「明るさ」に影響を与えることがわかってくると思います。
例えば、次のような場合です。
「F値」を下げると、光が入ってくる量が多くなり、写真が明るくなる。
「シャッタースピード」を長くすると、光を受け取る時間が長くなり、写真が明るくなる。
「ISO感度」を高くすると、受け取った光の信号を増幅させて、写真が明るくなる。
つまり、撮った写真が「暗いなぁ」と感じたら、「F値」を下げるか、「シャッタースピード」を長くするか、「ISO感度」を上げるか、いずれかの設定を変更すればよいわけです。
そのため、「F値」『シャッタースピード」「ISO感度」のいずれかの設定を変えて、写真の明るさを変更することを「露出補正」と言います。
そして、カメラが自動で算出する標準の明るさを「適正露出」と言います。
全ての設定をカメラにお任せで撮影すると、通常は適正露出を基準にして、カメラが「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」を最適な値に設定して撮影することになります。
しかし、適正露出はカメラが算出する基準に合わせているため、人が写真を見たときに感じる明るさの基準と異なる場合があります。この場合、露出の設定を変更することで意図する明るさに変えることができます。
この適正露出から写真を暗めに設定することを「露出を下げる」または「マイナス補正」と言い、明るく設定することを「露出を上げる」または「プラス補正」と言います。
それぞれの関係性を図で表すと次のようになります。
まとめ
カメラの設定が分かってくると、写真の表現がどう変わるのかや、どんなレンズやカメラを選べばいいのか理解できたのではないでしょうか。
しかし、設定についての理解ができても、一眼カメラを始めたばかりの方が全ての設定を考えて変更することはとても大変ですし、設定を変えているうちにシャッターチャンスを逃してしまうこともよくあります。
そのため、まずは一つだけ設定を自分で変えてみて、あとはカメラに任せて撮影してみることをお勧めします。
詳細は別記事で紹介しますが、絞りだけ自分で変更したいのであれば「絞り優先モード」、シャッタースピードだけを変更したいのであれば「シャッタースピード優先モード」で撮影することで、簡単に表現を変えることができて、撮影が楽しくなってきます。
一眼カメラを持っていないという人も、スマートフォンでは「露出」を変更できるので、自分好みの明るさに変更して撮影してみるだけでも、カメラ任せの写真から一歩前進することになります。
今回紹介した「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」について詳細に勉強したいという方には、別記事で紹介しますので、そちらを参照してください。
この記事を読んでいただき、設定について少しでも理解できて、自分で触ってみようと思っていただけたら嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。