一眼カメラやコンパクトカメラの上についている「モードダイヤル」使ったことはありますか。
どう使えばいいかわからずに、とりあえず「AUTO」で撮影している方も多いのではないでしょうか。
実は、モードダイヤルを使うことで、手軽に完成度が高く、個性的な写真を撮影することができるようになります。
もちろん、手軽に取りたいという場合は「AUTO」を使って撮るのもいいですが、「AUTO」以外の撮り方を知っていると写真撮影が何倍も楽しくなります。
この記事を読んでいただけると、それぞれの撮影モードの違いを理解して、自分の取りたい写真にあった撮影モードを選択できるようになりますので、最後までぜひご覧ください。
この記事を書いている私は、カメラ歴10年以上、フォトマスター検定試験1級の資格を取得しているYOSHIす。初心者の方がカメラを手にして写真を楽しむことができるように、カメラやレンズの話、撮影スキルなどについて紹介しています。
また、私のブログでは一眼カメラを買おうか迷っている人が、自分にはどんなカメラやレンズが合うのかという質問にお答えしていますので、気になる方はお問い合わせページからご連絡ください。
撮影モードで何が変わるのか
撮影モードには「オート(AUTO)」「プログラム(P)」「絞り優先(AまたはAv)」「シャッタースピード優先(SまたはTv)」「マニュアル(M)」などの各モードが用意されています。
各モードの解説をする前に、カメラでは写真の明るさ(露出)を決める際に何を設定しているのかについてに見ていきましょう。
これが理解できると、どの撮影モードを使えば良いか判断できるようになってきます。
露出を決める3つの要素
写真の明るさ(露出)を決める上で、重要となる要素は大きく3つあります。
それは「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」です。
それぞれ順番に見ていきましょう。
「F値」とは、レンズの中の光の通る穴の大きさを数値化したものです。
レンズの中には光が通る穴の大きさを変えるための「絞り羽根」という部品がついています。この絞り羽根の重なり具合を調整し、穴を大きくする(F値を下げる)と光を取り込む量が多くなり写真は明るくなります。逆に、穴を小さく(F値を上げる)すると写真は暗くなります。
「シャッタースピード」とは、光を取り込んでいる時間を数値化したものです。
カメラ内にあるイメージセンサーという部品の前にシャッターがあり、シャッターを開けている時間を長くすると写真は明るくなり、短くすると写真は暗くなります。
「ISO感度」とは、レンズから入ってきた光を取り込む際の「感度」を数値化したものです。
ISO感度を上げることにより、カメラで受け取った光を増幅させて、写真を明るくすることができます。
その反面、ISO感度を上げすぎると、「ノイズ」というものが発生して写真がざらざらした感じになり、画質が悪くなります。
これらをまとめると、次の図のような関係となります。
つまり、露出を固定してF値を低くしたい(絞りたい)場合は、シャッタースピードを長くするか、ISO感度を上げてあげればいいのです。ただし、前述したとおりISO感度を上げすぎると画質が悪くなってしまうので、まずはシャッタースピードを手ブレしない速さ(1/50秒〜1/60程度)までに設定して、それでも暗い写真になるようであればISO感度を上げていきます。
このように、適正な露出になるようにF値、シャッタースピード、ISO感度をコントロールするのですが、全てを自分で決めて撮影しようと思うと、初心者には難しく、プロのカメラマンでもシャッターチャンスを逃してしまう可能性があります。
そこで、全ての設定をカメラに任せたり、自分が調整したい要素だけをコントロールして撮影するのが撮影モードの役割というわけです。
なお、F値、シャッタースピード、ISO感度について初心者の方に、もっとわかりやすくまとめた記事もありますので、もう少し詳しく知りたい方はあわせてご覧ください。
オートモード「AUTO」での撮影について
全ての設定をカメラにお任せして撮影するモードです。
F値、シャッタースピード、ISO感度を全てカメラが決めるため、自分で変更することはできません。
露出補正ダイヤルがついている一眼カメラの場合、露出も変更することができません。
自由度がないため、個性的な写真を撮ることは難しいですが、複雑なことは考えずに手軽に撮影したいという方にはおすすめの撮影モードです。
ISO感度を決めることができないため、暗い場所での撮影ではISO感度が高くなりすぎてしまうことがあり、画質が悪くなる場合もあるので注意が必要です。
プログラムAEモード「P」での撮影について
F値やシャッタースピードの設定をカメラが設定してくれる撮影モードです。
ISO感度については、カメラに任せる「(ISO感度の)AUTO」にすると、ISO感度の設定もカメラがしてくれますが、自分で設定することもできます。
一眼カメラにダイヤルがついているものであれば、F値やシャッタースピードを割り振っておけばダイヤルを回すことで、撮影前にカメラが設定した値を変更することができます。
露出補正ダイヤルがついている一眼カメラであれば、露出をプラス側やマイナス側に変更するだけで、カメラがF値とシャッタースピードを再設定してくれます。
シャッターチャンスを逃したくないスナップ撮影などで使いやすく、自分で設定も変更できるため「AUTO」よりも自由度が高い撮影モードです。
絞り優先モード「AまたはAv」での撮影について
「絞り」つまり「F値」を自分で設定して、あとはカメラにお任せする撮影モードです。
背景をボカして撮影したいという場合は、F2.8などの低い設定で固定し、あとはカメラがシャッタースピードとISO感度を設定してくれます。
ポートレート(人物撮影)や花びらなど主体を引き立たせる撮影では、この撮影モードが便利です。
「背景をボカした写真が撮りたい」という理由で一眼カメラを始めた方は、この撮影モードを使うことでより写真撮影が楽しくなると思います。
シャッタースピード優先モード「SまたはTv」での撮影について
「シャッタースピード」を自分で設定して、あとはカメラにお任せする撮影モードです。
スポーツなどの速い動きを止めて躍動感のある写真を撮ったり、滝を流れる水をシルクのように写したりする撮影ではこのモードが便利です。
シャッタースピードを1/50よりも速い時間に設定しておくと、手ブレを抑えて撮影することができます。
シャッタースピードを長くして撮影する場合には三脚を用意するなどカメラを動かないように固定して撮影する必要があります。
マニュアルモード「M」での撮影について
F値やシャッタースピードの設定を自分で設定する上級者向けの撮影モードです。
ISO感度の設定は「AUTO」にすることもできますし、自分で選択することもできます。
露出もF値やシャッタースピードを操作して決めなければならないので、液晶画面で明るさを確認したり、液晶画面の表示に出ている露出補正値(±0などの数値)などで確認します。
「星」「花火」「蛍」など暗いシーンで撮影する場合や、ストロボ(フラッシュ)を使って撮影する場合には、この撮影モードを使用しないと撮れない場合があります。
カメラを直ぐに取り出して使うスナップ撮影などには向かない設定なので、写真を作り込みたい人向けの撮影モードです。
まとめ
撮影モードは自分の技量にあわせて使うことができるので、難しいことはまだ分からないという方にはまずは「AUTO」や『プログラムAEモード」を使って写真を撮ることを楽しんでみてください。
一眼ならではのボケ感のある写真を撮ってみたいと方は、積極的に「絞り優先もモード」を使って撮影してみましょう。
さらにこだわった写真を撮ってみたいという方は、「シャッタースピード優先モード」や「マニュアルモード」での撮影にチャレンジしてみるといいと思います。